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スサノオのストーリー

 95年の秋に、浜田氏が京都産業大学混声合唱団ニポポのために書いたものです。

 ※注:幅の狭い画面では、非常に読みづらくなります。パソコンまたはタブレットでお読みください。(2012.9.17)


≪一夜漬けで覚える(笑)シアターピース版・スサノオ・ストーリー≫


    原典(古事記)ほか、いただいた資料を基に、「スサノオ」のあらすじを
    シアターピース版に沿ってまとめてみました。
    せっかく「スサノオ」という作品を取り上げるのに、肝心のストーリーを
    知らないのでは格好が悪いので、一晩で覚えてしまいましょう。(笑)
    参考になれば幸いです。

                         '95. 9. 10  浜田 啓司




■天と地が初めて開けた頃の天上界
 ◆別天つ神(ことあまつかみ)
   -天之御中主(アメノミナカヌシ)-----+
   -高御産巣日(タカミムスビ)       |
   -神産巣日 (カミムスビ)        |
     -(宇麻志阿斯訶備比古遅)         | 天(あめ)の沼矛(ぬぼこ)
   -(天之常立)               | (玉で飾った美しいホコ)
  ◆別天つ神以外に               | を授け、クラゲなす(フワ
      - ?                  | フワと漂う)地上を固め、
      - ?  複数の神の誕生         | 国を作る事を命ず
     :                  |
      -  ?                  |
      -伊邪那岐命(イザナギノミコト)(♂)<--+ この世で初めての
      -伊邪那美命(イザナミノミコト)(♀)<--+    男と女 
                              〔♪2 国生み〕



■国生み
 伊邪那岐と伊邪那美、天上界-地上を架ける天(あめ)の浮橋(うきはし)に立ち、
  ホコで地上の海水をかき回してオロゴノ島を作る。
 2人はそこに降り、太い柱を打ち立てて御殿を造り、そこで結婚式を挙げる。

  伊邪那岐「御殿の柱を(伊邪那岐は左より、伊邪那美は右より)廻り、
       お互いに出会った時、子供が産まれるようにしよう」

 柱を廻り、互いに顔を合わせたとき

  伊邪那岐「あなにやし、えおみなよ」(なんと美しい乙女よ!)
  伊邪那美「あなにやし、えおとこよ」(なんと素晴らしいお方!)
             ↓
 混沌の中から緑なす大倭豊秋津島大八島(おおやまととよあきつしま:日本国土)の
 誕生(淡路島、四国、隠岐、九州、壱岐、対島、佐渡島、本州)
 そして出来たばかりの大地に生命を吹き込むべく、自然界のあらゆる神々を生む
    〔♪2b 国生み〕

 最後に火の神を産むとき、伊邪那美は大火傷を負い、黄泉(ヨミ)の国(あの世)に
 去ってしまう。



■黄泉の国
 伊邪那岐は先立たれた愛しい妻を追い、黄泉の国へたどり着く。

  伊邪那美「元の世界に帰るために黄泉の国を支配する神に相談するので、
       絶対に姿を見ないで欲しい」

 待ちきれぬ伊邪那岐は伊邪那美を探す。そして変わり果てた妻の姿に遭遇する。
 愛する夫に醜い姿を見られた伊邪那美は憎悪に狂う。
  〔♪5 さようなら〕

 伊邪那岐はおそれをなして逃げ出す。
 黄泉比良(ヨモツヒラ)坂の大岩を挟んで、追い迫る伊邪那美に伊邪那岐は離縁する
 旨を言い渡す。



■三貴子の誕生
 離縁した伊邪那岐、筑紫の国の阿波岐(あはき)の河原で黄泉の国のけがれを浄める。
 その禊ぎの最中に3人の最も貴い神を生む

  -左の目を洗うと、天照大神(アマテラスオオミカミ)が誕生、高天原を治める
  -右の目を洗うと、月読の命(ツクヨミノミコト)が誕生、夜の世界を治める
  -鼻を洗うと、須佐之男の命(スサノオヲミコト)が誕生、地上の海の国を、
                                                        治める...はずだった。
    ※このスサノオは3つの性格を持つ。ここではスサノオを3人で演じる。
    〔♪9 3人のスサノオの歌:アラビタマ・スサノオ(荒ぶる神・剣)
                               ニギミタマ・スサノオ(愛と寛容の神・曲玉)
                               クシミタマ・ソサノオ(奇跡をもたらす神・鏡)〕



■スサノオの反抗
  須佐之男ひとり、海の国を治めようとせず、ただ母・伊邪那美を慕い泣いて暮らして
  いた。それを知った父・伊邪那岐は須佐之男を勘当し海の国を追い出す。須佐之男は
  根の国(黄泉の国)へ行く前に姉・天照大神のいる高天原に立ち寄る。
    〔♪10 うろたえる神々の歌〕
  そこで須佐之男は暴れ回り、ついには一人の織姫を死なせてしまう。



■天の岩戸
  須佐之男の乱暴を嘆き悲しむ天照大神、天の岩戸を開き自ら姿を隠してしまった。
  高天原ばかりでなく地上の中つ国までも真っ暗になってしまった。世の中にはあらゆ
  る災いと悪事が横行し、高天原消滅の危機が迫る。
    〔♪14 闇の歌〕

  天照大神を天の岩戸から連れ出すために、高御産巣日の子の知恵の神・思金(オモイ
  カネ)は神々を岩戸を集め指令を与える。その指令とは、

      ・長鳴き鳥を集めて岩戸の前で鳴かせる
      ・曇りなく物みな映す鏡を作る
      ・サヤサヤと響きをたてユラユラととり揺らせば光りきらめく曲玉を作る
    〔♪14a オモイカネの指令〕

  そして岩戸の前で飲めや歌えやの大騒ぎを始める。
  中でも天宇受売命(アメノウズメノミコト/現在のお多福面の神)は狂喜乱舞。
    〔♪15 天の岩戸の宴〕

  不審に思い様子を伺おうと岩戸をかすかに開けて天照大神が神々に尋ねると、
    「この世で一番貴い神がお生まれになったのです」
  と答える天宇受売命。
  天照大神は鏡に映った自分を「私以外の、この世で一番貴い神」と早とちりし、岩戸
  から飛び出してしまう。その瞬間、天地は光を取り戻し高天原に再び平和が訪れる。



■スサノオ高天原追放
  須佐之男は初めて自分の犯した罪の大きさに気付き、天照大神の前にひれ伏す。
  天照大神は須佐之男に命じる。人間の苦しみや悲しみを知り、地上の中つ国に豊かな
  国を作りなさい。そうすればいつかお前も神になれよう...。
  須佐之男は姉神の言葉を受け、涙を振り切って地上の中つ国へ降りて行く。
  豊かな国を作るため、新しい自分に出会うため...。
    〔♪18 高天原追放〕



■出雲国・クシナダとの出逢い
  高天原を追放された須佐之男、地上の悪と戦うための旅に出る。それは母伊邪那美の
  面影を求める追慕の旅でもあった。
  しかし母の姿を求めた出雲国には、得体の知れない不気味な影...八俣の大蛇、そし
  てそれを手なずける肥の川の神・タタラ一族...。
    〔♪20 タタラの踊り〕

  肥の川の上流にある鳥髪の里で、老夫婦とその娘が泣いている。
  父の名は足名椎(アシナヅチ)、母の名は手名椎(テナヅチ)、そして娘の名は、
  櫛名田(クシナダ)...。
  彼らにはかつて8人の美しい娘がいたが、毎年1人ずつ、八俣の大蛇にさらわれて
  いった。そして残された櫛名田。彼女もまた、7人の姉と同様に大蛇にさらわれる
  運命にあった。
    〔♪21 村人のなげき〕
    〔♪22 クシナダのアリア〕



■八俣の大蛇退治
  母の愛を知らずに育った須佐之男の荒ぶる魂は、櫛名田の優しい人柄にうたれ、泣き
  崩れる櫛名田を慰め、恐れおののく村人達を励まし、八俣の大蛇と戦うことを決意す
  る。

    家の廻りに垣根を作り、岩を積み上げ、頑丈な砦を作る。
   垣根には8つの門をこしらえる。
    御神酒(おみき)を醸(かも)し、痺れるようなうまい酒を作る。
   それぞれの門に酒を置く。
  〔♪24 戦闘準備の歌〕

 やがて大蛇が山鳴りを立てて襲ってきた。
 大蛇の8つの首がそれぞれの門をくぐろうとするとき、置いてある酒を飲み干し、
 酔いつぶれて寝てしまった。
 そのスキに須佐之男は十拳(とつか)の剣を抜き放って八俣の大蛇に立ち向かう。
  凄まじい戦いの果て、八俣の大蛇は流れ出る血潮で肥の川を真っ赤な濁流に変え、
 切り裂かれた尾からは一振りの見事な宝剣を残して須佐之男の前に敗れ去る。
  〔♪29 おれはスサノオ〕



■スサノオとクシナダの結婚
 戦いを終えた須佐之男は、櫛名田と約束通り結婚する。そして御殿を建てる場所を求
 め、須賀というところに辿り着く。ここに須賀の宮を建てた。

  須佐之男「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」
  〔♪31 結婚の歌〕

 この須賀の宮に、櫛名田の父・足名椎を宮の管理上の長官に迎え、須佐之男と櫛名田
 は仲むつまじく暮らした。