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「『夜空のトランペット』ほか」

Ten.:上窪 啓太


 不思議なことかもしれませんが、初登場です。

 もう何年も前のことになります。ピチピチの(!?)高校生だった頃、下校時間になると決まって校内に流れていたのは『夜空のトランペット(ニニロッソ)』という曲でした。当時放送部に所属していた私は、オープンデッキのリール(御存知?)の頭出しをして下校時間の5分前におもむろにスタートさせるのでした。2年生のあるときから単に曲とアナウンスだけでは(なぜか、下校放送は女声のアナウンスで...というのが定説でした。が、どこかの合唱団の練習と同じで、担当メンバーの来ない日は、私もマイクの前に立ちました。『♪間もなく下校時間です。校内での活動を停止して...♪』)物足りないということで、さらに蒸気機関車のSE(効果音)を重ねることにしました。こちらはレコードです。もちろんタイミングをはかり、遠くから聞こえるSLに牽かれた貨車の音の中で『夜空のトランペット』は始まり、アナウンスの直後私の前を貨車が通り過ぎて行く。曲の余韻の中遠くに鉄輪の音が消えて行く。結構満足してました。

 そして、もう一曲『今でもローセキは魔法の杖』。

 大学入学間もない4月の上旬。桜の花がわずかに残る頃でした。クラブ活動を何にしようかと動き始めてまだ数日、合唱団の練習を見学に行った時(因みに合唱団は4つありました)間近に迫った演奏会に向けて練習していたのがこの曲でした。いままで合唱といえば、音楽の時間に混声で、どちらかといえばクラシカルなものしかやったことのなかった私にとって当然の様にむさ苦しく、かつ貧乏たらしい男ばかりが約80名でつくり上げる怪しげな音楽に思わず鳥肌がたったのを今でも覚えています。

 アカペラなのに巾が広くてうねうねしてて、ゾクゾクとワクワクが混ざり合ったような感じでした。たまたま一週間の練習の内1/3が混声で残り2/3が各声(男声と女声)だったので色々なパターンの曲に接することができました。それから混声、冗談音楽、ジャズコーラスと広がっていきマザーグースのうたを経てボイや現在の私につながってきます。

 井上ふいちや西河のだんなと同じステージで唱ったことも、渋谷の中央公会堂での男声ジョイントコンサートのアンコールにて200人で『ウルトラセブン』をイントロから始めた途端帰り始めていたお客さんのほとんどが走って客席に戻ってきたことも、学生当時の一コマとして脳裏に刻まれています。

 最後にうっとおしいこの季節、悩みごとの多いあなた・元気のないあなたにこの一曲。

 『Pomp and Circumstance March No.1 in D major (EDWARD ELGAR)』

 邦題は『威風堂々』。高校生ぐらいからよくブラスも聴くようになり気分転換や自分に喝を入れる時によく聴きます。ヘッドホンでもしてボリュームを少し大きめにして浸り込んでみてください。きっと拳に力が入ってくることでしょう。余談ですが自分自身の葬儀の際にはこの曲や『聖者の行進』をBGMにしたいと思っています。

 ひとそれぞれの足取りの中で想い出や記憶は状況や季節・音楽によって付箋が付けられます。関連付けてものごとを把握することができる人間は、ひとつの曲から記憶の逆検索が可能です。

 みなさんのベストアルバムもきっとますます曲目が増えていくことでしょう。

 ......次回登場する時には『あめふりくまのこ』もはいっているかもしれません。......!?