[ロゴ]

「のどもと過ぎても-愛唱歌ノススメ」

Sop.:関 麻由美


 ピアノを習い始めてしばらくたった頃、昔習ったところを「おさらい」するのが大好きでした。黄色のバイエルをやってる時、赤色の方を最初から最後まで一気に弾いてみるとか、発表会の練習に疲れた時、昨年の曲を弾いてみるとか。あの頃弾けなかった曲がすいすい弾ける、とういことはこの曲だって弾けるようになるはず...なんて、文章化して考えた訳では決してありませんでしたが、不思議とあせりや苛立ちが消えて、落ち着いて難曲(??)の練習に向かえたような記憶があります。

 家庭教師をしていた時(英語)、「高校の教科書が全く読めない」と嘆く生徒に「中学の時の教科書を読んでごらん」とすすめたことがあります。次に会った時、彼女はにこにこして「先生、読めました!!」と叫び、その日の勉強は意外にスムーズに進んだのでした。

 で、思うんですけど、合唱だってやっぱり同じだよね、と考えるのです。不協和音の連続や、気の狂いそうなハイ・ポジション、横文字の羅列に疲れ切った頃、いつでも立ち戻って歌える「レパートリー」があれば、どれほど精神安定によろしいことか。必死のチャレンジに取り組むことはいつだって必要だし、そうして前へ進んでいくのですが、時々立ち戻ることだって同じくらい必要なんじゃないかな...と、今になって思います。だから、私は今、心から「愛唱歌」の必要を感じています。合唱は一人ではリプレイできないから、みんなで共通の財産となる「愛唱歌」を。のどもとを過ぎた歌の熱さはすぐにみんな忘れてしまう、というのではあんまりじゃないですか。「これを聴けば思い出す」ことがどんどん増えていくことを願って「愛唱歌」を歌い継ぎましょう!!