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「羊飼い=シェパード!!」

Sop.:谷岡 礼子


 このところボイスではクリスマスコンサート用の曲を練習していますが、その中で20年近く間違っていたあることを発見しました。(といっても全然たいしたことではないのですが)

 歌詞にキリストをあらわす「羊飼い」、キリストの誕生を祝いにくる「羊飼い」=shepherdという単語が頻繁にでてきますね。あのshepherdなんですけどね。

 私が小学生のとき英語の塾に通っていたのですが、そこの英語の先生が敬虔なクリスチャンで、クリスマスには英語で歌わなければならないんですね。(クリスマスには集まってキリスト誕生の紙芝居を見なければならないのです。毎年毎年おなじものを。)もちろん「清しこの夜」も英語版で暗唱して歌わされたわけです。ところが、そこは小学生のことですから、耳できこえた通りに覚えてしまうんですよね。2番の歌詞で....

 サーイレントナイト、ホーリーナイト....しぇふぁーずクエイク???

 アートザサイト... 今から考えるとすごい耳してたなぁと思いますが、こういうふうに聞こえてたんですね。でもこれがそれ以来私の「清しこの夜」になってしまっていて、羊飼い(shepherd)はどう見ても「しえふぁーど」としか読めないんです。

 ボイスで歌っていても、だいたい「しえふぁーど」って歌ってます。そしてどう聴いても周りの人も「シエファード」と発音しているように聞こえてしかたがないんです。

 ところがNHKラジオの「英会話入門」(NHKとしては画期的なひょうきんな番組です。)10月号のテキストを開いたら1ページ目に「シェパーズ・パイ」(Shepherd's Pie)という文字がでんっ!と載っていたんですね。そんなもんシェパードといったら犬やんか??シェパード犬のパイ??

 解説に「羊飼いのパイ」(本来、小羊の肉をつかう)と書いてありました。

 「おぉー!!羊飼いってシェパードやったんか!」(感動ー)

 ここまでくるのに20年以上。辞書で調べたら3分だった。

 shepherd  1.羊飼い、牧羊者
         2.牧師(キリストが「わたしはよい羊飼いである」といったから)
           ↓
  the Good Shepherd = よい羊飼い、キリストのこと。

 じゃあ、警察犬のシェパードは何なんだ...

羊飼いの犬、牧羊犬はshepherd dog→通常はコリーcollie しかし日本でいう「シェパード犬」もGerman shepherd dogといい、もともとヨーロッパでは牧羊犬だった。「おぉー」(感動)

(よかった。シェパーズ・パイがシェパード犬をミンチにしたパイじゃなくって。)

 このところボイスでは主婦も増えたことだし、お料理の上手な男声もいらっしゃることだし(だれとは言わんけど、アールグレー紅茶のケーキまた待ってるよ。ゴトチン。)レシピもつけておきますね。シェパーズ・パイ。

 ちなみにクリスマスソングででてくる「飼い葉桶」...若い人たちが知らないのに驚きました。けど..実は去年北海道へ行って牧場で見るまで私も実物は見ていなかったんですよね。何で知っていたのだろうと思い出してみたら、かの英語の先生の「紙芝居」なんですよ。大学時代クリスマス音楽礼拝というものがあって、キリストの誕生の物語を合唱とハンドベルとオケと芝居で綴るのですが(最後はもちろんメサイヤ「はーーーれるや!」でしめる)、そこにでてくる三人の博士が贈り物をもってかいば桶のわらの上で眠るイエス・キリストのいる馬小屋へむかうシーン...ここにくると小学生のときにみたかの「紙芝居」が頭の中に静かにでてきます。星にむかって歩くシーン、馬小屋のなかで暖かい光のなかにいるかわいいイエス・キリスト。実際の音楽礼拝では文学部の教授がカラオケでならした「のど」を披露する場となっていて、「三人の博士」は本物の文学部の三人の博士が扮装して歌いながら出てくるんです。そんなひどい状態(教授の歌を聴いて本番で吹き出さないよう、リハーサルのとき免疫つけておく必要がある状態)の中でも、私の頭の中の天井いっぱい、静かな静かな「紙芝居」の一幕がプラネタリウムみたいにひろがっていたんです。

 こどもの頃、目にやきついたもの、印象にのこったもの、耳の奥で聞こえたものが、今は自動的にでてくるようになった歌とか歌詞とか単語になっています。こういったものがずいぶん無意識ながら自分のもとになっているんだな~と思います。こういう単語、人それぞれ違うのですね。

 「先生、d o l l って何?」と中学3年生の女の子。「中3で何いってんの~おぼえとけー」と心のなかで思いながら、「人形、やろ」と私。

 でもなんでd(ディー)o(オー)l(エル)l(エル)が「当然も当然の単語」だと私が思えるのだろう??...「あっ、サリバン先生がヘレン・ケラーの手の中に指文字で書いたディー、オー、エル、エルだ。あれで覚えちゃったんだ」

 あしながおじさん、を無理して英語で読んだとき体の中にはいった単語、ヘレンケラーで体にはいった単語、赤毛のアンでしみついた単語や風景、これは私の場合にすぎず、中3の彼女はまた私とは違った「当然のもの」をもっているんだろうな。

 ということで、しみついた羊飼いはこれからもしばらく「シェファード」のまま、なおりそうもありませんが、聴かなかったことにしてください。(この前の練習では10回に2回ぐらいはシェパードといえたように思います)

 では、このへんで。