「涙のラデツキー行進曲」
ちょうど10年程前、私が中学3年生の時のことです。西牧先生率いる宝塚少年少女合唱団の夏合宿が例年通り、ハチ高原の「万両山の家」で行われました。最近でこそずいぶん優しくなったと評判の笠原先生も当時は厳しいさかりで、上級生メンバーの私たち(馬殿さんを含む)は小さい子が騒げば「しつけがなってない。上級生の責任だ」と言われ、朝から晩までひたすら練習で埋まったボイスまっ青のスケジュールで疲れてくたくたの中を夜は夜で「反省会」を開き、どうすればより良い音楽づくりができるのか、と真剣に論議していました。3泊4日のスケジュールの3日目、西牧先生の指揮するラデツキー行進曲の合唱版「太陽のマーチ」(誰の詩か忘れましたが)がどうにもうまく進みません。耐えかねて私はぽろぽろ泣き出してしまいました。どうして下級生たちに私たちの努力が伝わらないのだろう、と...。今思えば、そこまで合唱にひたすらになっていた自分が純粋ながら気恥ずかしくもあるのですが、どこかで「ラデツキー行進曲」を聴く度に歌詞が浮かぶのです。(中間部)「寂しい時は見上げてごらん/金色のひまわりが輝いてる/悲しい時は見上げてごらん/きらきらと降ってくるよ/金の花びら/ぼくたちの太陽は心の花/ぼくたちの太陽は心の中にいつでもあるのさ/苦しい時は見上げてごらん/笑ってる太陽の声がする」