「Case of Hamadak」
僕の音楽の趣味は、基本的に中学・高校時代に聴いた音楽の印象が非常に強いといえます。またジャンルも多岐にわたっているような、偏っているような、一貫性がなさそでありそな感じです。
これは主に、放送部で音楽を提供する側の立場にいたことが影響しているのかも知れません。
その中から特に、僕の生活のルーツになっていると言えるものを取り上げます。しばし、お付き合いください。
1.夢伝説(スターダスト★レビュー)
中学1年生の時の文化祭。当時3年生の先輩たちは、すごく大人に見えた。その3年生が率いる、文化祭実行委員が、この年の文化祭のテーマソングとして選んだのが、当時カルピスのコマーシャルソングでかかっていた、スターダスト★レビューの「夢伝説」という歌だった。スタ★レビ自体、デビュー当時の話だったと思う。僕らは体育館での出し物をずっとビデオ撮影していたのだが、文化祭のエンディングでこの歌の大合唱になったとき、それまで味わったことのない感動を覚えた。ステージ関係のことに関わる(表舞台に立つにせよ、裏方であるにせよ)ことを、その後の僕の人生において選ぶことになった、その直接のきっかけとなる歌である。あとでビデオを同期の子と編集しながら、何度となく歌った。何度となく涙した。今でもカラオケでほとんど空で歌える、あまりにも印象深い、そして僕にとって非常に大事な歌である。
♪遠い昔のことさ 夢で見たんだ 燃える空に包まれて
光る大地の中を駆け抜けるとき 君は舞い降りてきたの...
2.Love theme from St.Elmo's Fire(デヴィッド・フォスター)
15歳。年代的にも時代的にも、洋楽を聴くことがかっこいいと思ってるような年頃。僕も例外ではなかった。当時、僕はラジオ少年だった。AM、FMばかりでなく、ラジオたんぱとか、NHKラジオの短波放送版、VOA(Voice of America)、中国や韓国(北朝鮮も含む)やロシア(旧ソ連)からの日本語放送とか...。思えば、今僕がハマっている喜納昌吉&チャンプルーズなんかも、実はこの時期に一度は耳にして、ショックを受けていたのである。とまぁ話が逸れたが、毎週日曜日に聞いていたFMラジオ番組があって、そのパーソナリティをやっていたミュージシャン自身に、考え方など非常に影響を受けていたのであるが、そのパーソナリティが番組で紹介した、主に海外の映画のサントラや著名なミュージシャンのCDのアレンジやプロデュースを手がける、デヴィッド・フォスターのデビューCDを聴いた。そしてその、何かビジュアル的なメロディに惹かれた。映像(ビデオ)、もしくは舞台と組み合わせて、何かを作りたいと思っていた。1.から2年後。同じ中学の文化祭。僕は3年生になっていた。先輩の姿に憧れていた文化祭のステージを、自分たちで作る番になった。最初は音響屋として参加していた実行委員だったが、ビジュアル的に作りたいという僕の意向が受け入れられ、最後はプロデューサー的仕事を任せてもらい、それなりに好評だった。舞台モノのスタッフという役割に病み付きになったのは、このあたりからだと思われる。その文化祭のオープニングに使ったのが、この曲、愛のテーマ。なお余談だが、映画「セント・エルモスの火」の方は...まだ一度も見たことがない。
3.Night Birds(シャカタク)
舞台は高校時代。僕は相変わらず裏方の仕事にハマっていた。中学から続けていた放送部での音響、ビデオ作品制作に加えて、生徒会役員を引き受けたことによって、学校行事全体を仕切る立場にいた。非常に特殊な高校で、放送部と言っても、校内放送はさせてもらえず、活動の場はもっぱら学校行事の音響・照明係と進行役、そしてビデオコンテストへの作品の出展であった。放送部でのビデオ作品の製作については、中学以上に力を入れていた。「作品の中での効果的なBGM探し」が、音楽と接するモチベーションの1つでもあった時期で、この頃からフュージョン系(有名どころではF1グランプリのテーマソング「Truth」のT-SQUAREとか)を聴くようになる。よって、文化活動発表会(うちの高校では「祭」の字のつく行事を行うことが禁止されていたため、文化祭ではなくこのような名称であった)での吹奏楽部のステージが毎年楽しみであった。うちの吹奏楽部は、顧問の先生の趣味によるのか、スクリーンミュージックとかフュージョンとかを結構積極的に演奏しており、モラルの固い高校にしては、割とアバンギャルドなステージがここでも期待できた。彼らの演奏を演出する照明も、放送部の仕事だった。舞台袖に陳腐な音響セットと照明アンプを並べて、クラブの仲間たち、スタッフが裏で試行錯誤しながら演出を考えていた。中でもフュージョンの代名詞とも言えるShakatakの「Night Birds」は(吹奏楽部が上手かったのかどうかは定かではないが)曲のカッコ良さもあって、個人的に最も気に入っていた。そのイベント全体をプロデュースしているのが、僕にとって楽しかった。約10年の時を超えて、2.で書いたミュージシャンの手になるリアレンジものの「Night Birds」を耳にして、当時の懐かしくも輝かしい(ちょっとクサい)日々を思い出した。
♪Flying through the night Floating on the wind
To the city lights Night birds with the lovely wings...
合唱についても書こうかと思ったけど、紙面が尽きたので(嘘)、この辺で。ちなみに合唱曲で「これを聴くと思い出す」は、鈴木憲夫「祈祷天頌」を避けては通れません。その話は、またいずれ。