「想い出の合唱曲」
僕は音楽歴がまだ浅く、音楽によく触れるようになったのは、大学の合唱団に入ってからで、想い出の曲と言っても合唱曲くらいしか思いつきませんが、いくつかあげてみようと思います。
1.「季節へのまなざし」(荻久保和明 作曲)
この曲は大学1年の夏に島根大学との合同ステージで演奏したものです。この頃はわけも分からずがむしゃらに歌ってましたが、この曲はなぜか大変気に入って、暇さえあれば口ずさんでいたと思います。「合唱って結構いいもんだな」と思うきっかけになった曲だったのではないかと思います。
2.「遥かな友に」(磯部 俶 作曲)
岡山で行われた、とある合唱講習会で、この曲が題材として採用されていたのですが、講習の最後に講師の先生が歌って下さったのがとても印象的でした。すでに齢七十を越えているというのに、朗々と響きわたる声、しかも、とてつもなく「深い」歌で、聴いていて思わず涙があふれてしまいました。普段自分たちがよく歌っている曲なだけに、歌う人が違えば、同じ曲でもこうまで違うものなのか、自分たちの音楽はなんと幼稚なものだったのかと思い知らされました。人の歌でこれほど感動したことはありませんでした。
3.「地球へのバラード」(三善 晃 作曲)
この曲は大学3年のとき、僕たちが中心学年で、通年曲として1年間取り組んだ思い出深い曲です。僕は三善晃という作曲家は、わけ分からない音楽を書くと思ってあまり好きではなかったのですが、ある合唱通(オタク?)な友人が、「絶対これがいいよ!」と強く薦めるので。多くの団員の猛反発を抑えて、チャレンジしてみることにしました。幸運にも当時は各地で盛んに三善先生の講習会が開かれていて、実際に作曲家の深い思いを知り、また優れた演奏に触れることができて、この曲がとても好きになれました。最終的にはほとんどの団員にこの曲の良さを知ってもらえて、つらかったけど、充実した良い1年間だったなぁと思います。
「歌」って楽しいものですよね。「楽しい」ことは生きるための糧だと思いますが、「歌」はそれを与えてくれるもののひとつです。でも、音楽っていうものは深く付き合ってゆくと技術的なこととかで行き詰まって、いつか純粋に音楽を「楽しむ」ということを忘れてしまいがちになります。(特に僕は元来無反応・無感動な性格なので、ちょっとやそっとで物事を楽しめない。困ったもんだ...)けれど、「歌」って「音」だけでなくその音に「言葉」がのせられていて、音を味わい、言葉を味わい、かめばかむほど味の出てくる美味しいものだと思うから、どんな曲を歌うときにも、ちゃんとかんで味わうことを忘れなければ、真に歌を楽しみ続けていくことができると信じています。
今度はどんな「歌(合唱)の美味」を見つけられるか、僕はそれを楽しみに歌いつづけています。